仁雄会報36 平成16年2月7日発行

大会詳報

前報でお知らせしたように医歯大躰道部は秋の一連の大会に臨みました。その結果をお知らせします。

第37回全国学生躰道優勝大会 平成15年10月19日 於 東京武道館
 宮下が2年ぶり2回目の優勝、団体は予選通過もメダルには一歩及ばず。
男子個人法形競技 優勝 宮下宏紀(医6)
新人団体法形競技 予選8位
男子団体法形競技 第4位(堀内、宮下、森、森山、古山)
男子団体展開競技 第4位(主森山、1森、2堀内、3古山、4三枝、5宮下)
 この大会は6年の宮下、堀内、三枝が忙しい実習の合間をぬって出場して団体戦にも出場することができました。個人法形は一昨年優勝、前年2位の宮下が決勝で高橋弘之選手(国士舘大)を破って2回目の優勝を果たしました。団体戦は法形、展開とも首尾よく予選は突破したものの決勝では残念ながらもう一歩でメダルには届きませんでした。展開は医歯大独自の筋立ての妙味で勝負したがどうやら主役の森山が腰痛で完調ではなかったようでそれを考えれば健闘といえるでしょう。新人は女子5人で団体を組みよく練習してくれました。結果はもう一つでしたが団体戦の面白さ難しさが理解されたと思うので今後の活躍を期待したいところです。

第37回全日本躰道選手権大会 平成15年11月22、23日 於 東京武道館
宮下は3位、坪川(歯1)が奮闘。
男子個人法形競技 第3位 宮下宏紀(医6)
女子団体実戦競技 第3位(喜多=城北チームの一員)
団体法形競技 予選敗退(堀内、宮下、森、坪川、古山)
団体展開競技 第5位(主:堀内、1:森、2:坪川、3:古山、4:三枝、5:宮下)
 学生大会終了後、森山の腰痛が悪化し全日本の出場が不可能となりました。とにかく人数がいないので歯学部1年の坪川を急遽起用して団体戦に臨みました。幸い坪川はセンスがあってバック転、宙もすぐにできるようになり法形、展開とも出場することができました。展開は主役をこれまた急遽堀内に変え急造で臨みましたが予選はブロック1位で通過したものの決勝では惜しくもメダルには届きませんでした。坪川には結果的にたいへん貴重な経験になったと思われ来期以降のさらなる奮闘に期待したいところです。個人法形の宮下は一昨年、昨年と連覇をしていたのだが本年は準決勝で森富和選手(山梨)に僅差で破れ3位ということになりました。医学部は本年から2年間の研修が義務となり次回出場は厳しそうなのですが本人は2年後の世界大会にも出場の意志があるなようで何とか練習時間を確保してまた出場してほしいと思います。上記以外では城北チームの一員として団体実戦に数名出場しましたが女子実戦で喜多がメダルに届きました。彼女は今年6年で本年は大会出場の意志はないようなのでよい記念になったものと思われます。医歯大以外の選手では宮下の1年先輩に当たる中野哲爾選手(拓殖大OB)が個人法形、実戦の2冠となりMVPを取りました。演武を一目見ただけで昨年度と比べると格段の違いだということがわかり、聞けばとにかくこの1年真剣に練習をしていたそうでこれまた頭の下がる思いでした。

南一郎コーチ(歯12年卒)結婚式行われる

 現在補綴大学院4年に在学中の南コーチの挙式、結婚式がさる9月14日に行われました。お相手の旧姓辻隆子さんは北里大学躰道部のOGです。私の知る限り学内部員同志で結婚したという例は数組ありますが他大の部員を射止めたというのはおそらく初めての事と思われ今後に向けてよい先例を作ってくれたと思います。式には医歯大躰道部も出席し、手割り、展開等の演武を披露しました。南は大学院卒業後も医歯大に残るそうなので本年はヘッドコーチとして引き続き後進の指導をしてもらう予定です。

平成15年度追い出しコンパ行われる

   全日本団体展開優勝他、華々しい結果を出してくれたメンバーの中核である宮下宏紀(医)、堀内和一朗(医)、三枝英敏(歯)の3名を送る追い出しコンパが12月6日(土)新宿の焼き肉屋で中島先生、渡辺先生らの出席のもと行われました。とにかく部員不足のおり6年まで活動してくれた彼らにはただ頭が下がるのみであり本当によくやってくれたと思います。会は彼らの性格に由来するものかあまりしんみりしたところはなく楽しく進み、2次会そして3次会へと流れていきました。今後三枝は歯内療法科の大学院、堀内は皮膚科、宮下は整形外科の方へ進むとのことです。ただ医学部の二人は上述のように2年の研修をしなければならず堀内は横浜赤十字病院、宮下は墨東病院で研修することになりました。もし彼らと接する機会がありましたらよろしくお願い致します。例年なら「部活で培った躰道の精神をいかしてーーー」というところですが、医学部の2人は来年コーチとして迎えることにし、三枝も仁雄会副事務局長すなわち私の片腕として活躍してくれることになりましたので、「本年も引き続きよろしく」ということになるかと思います。

仁雄会会費納入の御礼

現在(1月末日)例年にまして多数の方から会費の振り込みをいただいております。詳しい会計報告は後日とさせていただきますが、まずもって振り込みをしていただいた先生方に深く御礼申し上げます。もし今後納入していただける先生で振り込み用紙をお持ちでない場合には下記の郵便振り込み口座番号にお振込いただくか事務局の方までご一報下さい(医学部、歯学部卒1万円、パラメデイカルおよび保健衛生学科卒5千円)。
加入者名 東京医科歯科大学 仁雄会
口座番号  00130-5- 36708

躰道部 OB,OGの活躍

・寺田典夫先生(S59医卒、東京医科歯科大学大学院体内環境調節学分野助教授)
 まず先生から簡単な挨拶分をいただきましたので転載します。
 「私は昭和59年に医学部を卒業した後第2内科に入局し、腎臓グループの一員として臨床の研修を行った後、昭和63年度より3年間米国NIHに留学、帰国後は第2内科に復帰しさらに組織の改編、大学院重点化に伴い平成14年より大学院体内環境調節学分野 (腎臓内科学)助教授となり現在に至っています。研究面では NIH でネフロン系の生理機構に関する研究を行うと共に当地で分子生物学を学び帰国後はその知識、技術をいかして現在は腎細胞の細胞内情報伝達、細胞周期に関する研究、また最近は腎臓の再生医学に 取り組んでおります。独立行政法人化を間近にひかえ学内もゆれ動いておりますが今後も精力的に研究、臨床に取り組んでいく所存です。宜しくお願いいたします。」
現在宮崎隆前監督(昭和大学歯科理工学教室教授兼歯学部長)をはじめ学外には数名教授となったOBの先生がいらっしゃいますが学内には残念ながらいませんので助教授の寺田先生が一番上ということになるかと思います。現役時代、学生大会個人実戦準優勝の業績(実績)を持つ寺田先生は卒後当時たいへんな大所帯であった第2内科に入局しましたが研究面で頭角を顕わしNIHで精力的に仕事をしていました。実は私も1年遅れで同時期にNIHに留学し、公私ともにたいへんお世話になりました。ちなみに奥様もかつては躰道部に所属しておりました。現在、ISI社の「Web of Science」というデータベースを使うと誰がどのくらい論文を書きどのくらい引用されているか(1990年以降)が一発で判明してしまいます。たいへんぶしつけながら「医科歯科大学 寺田」で検索させていただいたところ90件!以上ヒットしました。今後もこのようなactivity を維持して活躍されることを期待しております。

・高田正雄先生(S55年医卒、Imperial College医学部麻酔集中治療科准教授)
 高田先生は現役時代から部活のみならず勉強もよくやっている先輩というイメージがあったが、先日医科同窓会報で久しぶりに写真と文章を拝見し, いささか感服いたしました。当人の許可を得ましたのでその文章をそのまま転載する形で高田先生の紹介をさせていただきます。これは高田先生の経歴、医歯大との提携活動の他イギリスの医師研修事情にも触れられている貴重な報告となっていますのでぜひご一読下さい。なお先生の連絡先(メールアドレス等)はImperial Collegeのホームページで検索するか事務局まで問い合わせ下さい。
医科歯科とImperial College の提携にあたって Imperial College医学部麻酔集中治療科准教授 高田正雄(医28)  「Imperial Collegeとの間で学生の交流をしてみると面白いかもしれないね。」そもそもこの話は、田中雄二郎、高瀬浩造両教授と旧交を暖めていた夕食の席から始まった。医科歯科で進められている教育改革の話を聞き、学生の海外留学に関して臨床面ではハーバートとの話があるが研究面ではまだ具体的なプランがないことを知り、それでは私が勤めているImperial Collegeとの交流を考えようかということとなった。その際最も重視したのは「対等の国際交流」という点である。従来の海外交流は日本から人を送って教えを請うという一方通行のものがほとんどで先方には経済的メリット以外得るものが無く大学間交流とは名ばかりのものが多いのが現状であったと思う。残念ながら海外での日本の臨床レベルのイメージは高いものではないし、また言葉の問題もあり、欧米の大学が積極的に臨床面での対等な学生交流を考えることはありそうにない。しかし研究面においては日本の評価はたいへん高まっているので、対等のパートナーとしてのプログラム建設に向けて動けるのではないかという話になった。そして佐藤上席学長補佐(当時)と廣川医学部長の強力なバックアップに加えて田中君の多大な努力の甲斐があって、前回同窓会報に紹介されたBachelor of Scienceコースでの学生相互交流の提携の実現となったのである。
 卒業して23年、初めて多少とも母校のお役に立つことができて感慨深いものがある。思い返してみると、最初は母校の小児科に入局したが、その後大学を離れて麻酔科に転向し、カナダのトロント小児病院ICUの臨床経験を1年、米国ジョンズホプキンス大学で呼吸循環生理学の研究を3年やり、帰国後は国立小児病院と同病院付属研究所の病態生理研究室で臨床および研究者として勤務し、その後、マサチューセッツ(MGH)で2年ほど分子生物学を学び、98年からはロンドンImperial College麻酔集中治療室でSenior Lecturer(米国でのAssociate Professorに相当)として教育、研究、臨床に従事している。実際の麻酔の臨床にも携わっているが仕事の主体は研究であり、幸いにもグラントを複数取得でき、総勢7人のチームを率いる(Principle Investigator, PI)として、マウスを用いた肺障害モデルにおける原因物質とその作用機序の研究をしている。
 イギリスの医学の特徴は、大学と病院が協力関係にありながらも経営、運営は完全に独立していること、学閥や医局といったものが存在せず個人が自分自身でキャリアを積んでいくことであろう。病院では病院付属のConsultantたちによって診療が行われトレーニング中の医師は大学や病院から独立して運営されている医師トレーニング機関に所属し、いろいろな病院をローテーションしながら資格を取って行く。大学所属の教官は、医師の場合はHonorary Consultant として病院で診療も行うが主たる仕事は研究と学生の教育である。教官は出身大学や国籍に関係なく選ばれ、グラント(3年で2-3千万から、大きいもので5年間で1-3億円くらい)を取ってPIとしてチームを運営することが期待される。教官以外のメンバー(ポスドク、テクニシャン、秘書など)の人件費、設備費、消耗品費用すべてグラントでまかなわれている。「金の切れ目が円の切れ目」という点ではアメリカとにており、基本的に実力主義で流動性が高い。自分では十分国際化しているつもりだったがいざこちらに就職してみると、日本の「寄らば大樹の陰」的な安定志向教育の影響が残っていたためか、精神的にこの「不安定さ」に慣れるまでにずいぶんかかった。反面緩やかな上下関係はあるがPIは基本的に独立しているのでやりたいことがやれるという自由を謳歌している。
 20年近く母校を外から見守ってきたわけだが、正直言って歯がゆい思いをしていた。一人一人を見れば真面目で優秀な医師が多く、また世界的な業績を挙げている研究者も何人もいる。それにもかかわらず大学全体としてみてみると、訴えるものがなく、個性に欠け、覇気がないという印象は否めなかった。世界的なプレゼンスも少なくとも私の知っている分野ではまだまだ低いのが実情である。母校の将来に関してどちらかといえば悲観的にならざるを得ないと思っていた矢先、今回の提携作業を通じて、体制を根本的に変えていこうという真剣な動きが学内で出てきたことを知り、大いに元気づけられた。「研究、教育、臨床の3本柱で世界の一流を目指す」というスローガンがよく挙げられるが、建前としては立派なものの医科歯科のサイズで実現不可能なことは明らかである。生き残るにためには大学としての大学としてプライオリテイを明確にしたプラクテイカルな方針を打ち出すべきであり、その意味で次世代の医師、研究者を育てることにつながる教育は最も重要視すべきものであると思う。「Clinical Scientistの養成に一番の焦点を合せた専門教育を行う」と打ち上げるのも一つの選択であろう。今回の提携における経験などをきっかけに、少しでも多くの後輩たちが若いうちに世界的研究の面白さに触れ、また公平でバランスのとれた国際的視野を持つようになってくれればと願う。そのためにも。私の経験が母校の発展に貢献できればと思っている。